ライブ会場の「煙」と「火柱」
先日、とあるバンドのライブに行ったときのこと。会場の中がうっすらと煙っていて、レーザーの光線が幻想的に見える。しかも途中では、ドーンと火柱が上がる迫力の演出まで。「室内で火を使って大丈夫なの?」と、一瞬ヒヤリとした方もいるのではないでしょうか。
実はこうした演出、きちんと法的な手続きや承認を受けていれば合法なんです。逆に、事前の申請や消防署の承認なしに行うと、消防法や火災予防条例に違反する可能性があります。
ここでは、「法律のたてつけ」として、どのようなルールのもとで許可・届出が必要になるのかを整理してみます。
◆ 1. 法律の仕組み:国の法律+地方の条例で二重に管理
まず大前提として、「火」を扱う演出(火柱・花火・スパークなど)や「煙」を発生させる演出(スモーク・ヘイズ)は、消防法(国の法律)と各自治体の火災予防条例(地方ルール)の両方で規制されています。
• 消防法:火気器具や可燃物の安全管理を国レベルで定める法律(消防法施行令第 5 条の 2 など)
• 火災予防条例:地域の実情に応じて、具体的に何が禁止で、どうすれば使えるかを定める条例(例:東京消防庁 火災予防条例第 23 条)
つまり「国が枠組みを決め」「各市町村が細かいルールを決めて運用」している構造です。そのため、最終的にはライブ会場の所在地を管轄する消防署に相談・申請することになります。
◆ 2. 「火柱」は“裸火使用”として原則禁止、ただし承認を得れば合法
劇場やライブハウスなど、不特定多数が集まる場所で「裸火(ろか)」を使う行為は、火災予防条例で原則禁止されています。
これは「喫煙・裸火の使用・危険物の持込み」として一括規制されており、条例にこう書かれています。
(例)東京消防庁火災予防条例 第 23 条劇場、集会場その他多数の者が集合する場所において、裸火を使用し、又は危険物品を持ち込んではならない。ただし、消防署長の承認を受けたときは、この限りでない。
つまり、勝手に火柱を上げるのは違反ですが、「どんな機材を、どこに、どのタイミングで使うか」「消火器はどこに置くか」などをまとめた承認申請書を消防署に提出し、承認(=禁止行為の解除)を受ければ合法的に行えます。
承認申請には、以下のような書類を添付します。
• 舞台図・配置図(火柱機材や消火器の位置)
• 使用計画書(火を使うタイミングや回数)
• 安全管理体制(監視員の配置、避難経路など)
• 機材の仕様書(炎の高さ、燃料の種類)
この承認を得ることで、「法律上は OK」の状態になります。
◆ 3. 「煙(スモーク・ヘイズ)」は液体の性質で扱いが変わる
ステージで使われるスモークやヘイズ(薄い煙)も、消防法上の「危険物」に該当するかどうかで扱いが異なります。
1. 危険物リキッドを使用している場合(油性・引火性)
→ 消防法上の「第 2 石油類」などに該当することがある→ 危険物持込み行為として「消防署長の承認(禁止行為解除)」が必要
2. 非危険物(水性・グリコール系など)を使用している場合
→ 法律上の「危険物」には当たらないため、消防署への承認までは不要なケースが多い→ ただし、感知器が誤作動するおそれがあるため、ホール管理者に「スモーク使用届」を提出するのが通常ルールつまり、成分が「危険物」に該当するか否かで手続きが変わります。
ただしどちらの場合も、主催者が事前に会場・消防署に相談し、適正な手続きをとっておく必要があります。
◆ 4. 現場の実務:主催者が申請し、消防署が安全を確認
ライブ主催者やイベント会社は、以下の手順で申請を行うのが一般的です。
1. 会場側に「火を使いたい」「スモークを使いたい」と相談
2. 会場が所轄消防署と調整し、必要な書式を入手
3. 主催者が「禁止行為解除承認申請書」を消防署へ提出
4. 消防署が安全対策を審査
5. 承認書を受け取り、当日現場に備え付けて公演実施
承認後は、消防の立入検査が行われる場合もあります。
◆ 5. まとめ:合法かどうかの分かれ道は「申請して承認を得ているか」
ライブ中の「火柱」や「煙」演出は、事前に消防署の承認を得ていれば合法的に実施できるものです。
つまり、「室内で火を使う=即違法」ではなく、「承認を取らずにやる=違法の可能性がある」というのが正確な整理です。
────────────────────────
◆ 参考法令・資料 URL
────────────────────────
• 消防法施行令 第 5 条の 2(火気器具の安全な取扱い)
• 東京消防庁 火災予防条例(第 23 条 禁止行為)
• 名古屋市消防局:スモークマシンの使用に関する案内
• 百道浜文化館:スモークマシン使用申請の手順
本レポートは、「消防法」や「火災予防条例」など関係法令の内容をもとに、一般の方にも分かりやすく整理したものです。
実際の手続きや必要な申請書の書式、承認の判断基準は、自治体や会場の構造・設備によって異なる場合があります。
もし「自分が主催するイベントで火やスモークを使いたいけど、どこに申請すればいい?」「消防署への書類ってどう書けばいいの?」といった疑問があれば、まずは所轄の消防署に相談してみてください。
また、イベント主催者や会場運営者の方で、
・申請書類の書き方を整理したい
・法令に合った安全管理マニュアルを作りたい
・地域の消防本部との調整をスムーズに行いたい
といった場合には、浪岡行政書士事務所でもサポートが可能です。
専門的な観点から、福島市や近隣地域の実情に即したアドバイスを行い、安心してイベント運営ができるようお手伝いいたします。
どうぞお気軽にご相談ください。


コメント